陰影のある映像
DIRECTION & ART

陰影と、孤高の色気

肌をなめらかに見せる補正をかけず、暗い照明で撮る。表情は大きなアップで、髪や袖は風とスローモーションで。作家として知られる郭敬明が、はじめて監督したテレビドラマです。

共同監督
落落(ルオルオ)
美術監督
張継尭(ジャン・ジーヤオ)
衣装・ヘアメイク
黄薇(ホアン・ウェイ)
THE DIRECTOR
監督・脚本郭敬明
グオ・ジンミン

クレジットでは「顧暁声」(グー・シャオション)という名前を使っています。

生まれ
1983年、四川省
歩み
小説家として知られ、『幻城』『小時代』などの作品があります。自作を映画にした『小時代』シリーズ(2013〜2015年)で監督に。映画『爵跡』(2016年)を経て、『雲之羽』(2023年)がはじめてのテレビドラマです。
会社
最世文化。『雲之羽』では共同制作を担っています

監督(郭敬明)の美学の主な特徴

  • 徹底した色彩設計と美術・セット陰影を強く使った重厚でダークなトーン、細部まで作り込まれた宮殿や自然のセットが特徴華やかさの中にどこか冷ややかでミステリアスな空気感を漂わせる映像美
  • 「イケメン(美男美女)」の魅力の最大化出演者たちの顔立ちやスタイル、衣装のシルエットを最も美しく見せるためのカメラワークやライティングに強いこだわりを持っている。影を帯びたアイメイクやスローモーションを多用し、登場人物の「孤高な色気」や「危うさ」を強調。
  • 耽美で退廃的なアクション・演出血と暴力が絡み合うシリアスな江湖の世界観を、どこかスタイリッシュでMVのように見せる演出を得意としている。低音ボイスのセリフ回しや、張り詰めた緊張感のある空気感が貫かれている。
IN MY JOURNEY TO YOU

だから、雲之羽はこうなった

その美意識が、『雲之羽』では4つの画になって表れています。

01
LIGHT

補正をかけない肌、暗い照明

古装ドラマでよく使われる、肌をなめらかに見せる補正をかけず、暗めの照明で撮られています。華やかな衣装や宮殿の中でも、画面にはいつも陰りがあります。

暗い照明の中の人物
暗い照明の中の人物
02
CLOSE-UP

目で語る、大きなアップ

心の内を、台詞よりも目線で伝える場面が多い作品です。監督は、表情の細かな動きをとらえるために、顔の大きなアップを多く使ったと話しています。

顔の大きなアップ
顔の大きなアップ
03
SLOW MOTION & MOVEMENT

水しぶきと、舞う衣

送風機で髪や袖を舞わせ、スローモーションで一瞬を引き延ばします。水しぶきが散る瞬間や、舞うような立ち回りでひるがえる衣も、この画作りで撮られています。

スローモーションで魅せる水しぶき
スローモーションで魅せる水しぶき
舞うような身のこなしと、衣の動き
舞うような身のこなしと、衣の動き
04
VIRTUAL PRODUCTION

LEDの壁の前で

無鋒の首領の部屋や刺客の訓練室、雪山の崖は、LEDの壁に映した背景の前で撮られました。光や空気感を撮影しながら変えられるので、朝・昼・夜・雪の移り変わりも、同じセットのまま表せます。

LEDの壁を背景にした撮影現場
LEDの壁を背景にした撮影現場
撮影されたスタジオとロケ地を見る →愛奇芸のバーチャル制作 ↗
05
OPEN END

郭敬明監督が描く「オープンエンド(含みを持たせた結末)」の美学

  • 「満たされない美」の追求監督は、完璧なハッピーエンドよりも、どこか欠落している、あるいは未来が不確定な状態にこそ「究極の美(滅びの美学や刹那的な愛)」が宿ると考えているらしい。
  • 視聴者の想像力への委ね物語を完結させないことで、視聴者の中でキャラクターたちが生き続け、いつまでも作品の感傷に浸れるような「余韻の持続」を狙っている。
  • 情緒(エモーション)の最優先緻密な伏線回収という「論理」よりも、最後に観客の胸を締め付ける「切なさ」や「衝撃」という「感情の最大化」を優先した結果、オープンエンドという形が選ばれているらしい。

だとしても、雲之羽のラストはひどくない?

STAFF

主なスタッフ

総監督・総脚本
顧暁声(郭敬明)グー・シャオション(グオ・ジンミン)
共同監督
落落ルオルオ
脚本
呉亮、呉驪珠、黎瓊、劉麦加
撮影監督
洪偉(A班)、譚永恒(B班)ホン・ウェイ、タン・ヨンホン
美術監督
張継尭ジャン・ジーヤオ
衣装・ヘアメイク
黄薇ホアン・ウェイ
劇伴
李赫リー・ホー
編集
于柏楊ユー・ボーヤン
制作
上海愛奇芸文化伝媒、最世文化(共同制作)
OTHER WORKS

ほかの作品

郭敬明が監督した作品です。日本で配信された作品は、邦題も添えました。

2024・ドラマ

『大夢帰離』

邦題『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』

『雲之羽』の次に手がけたテレビドラマ。日本では2026年5月から配信されています。

2016・映画

『爵跡』

2013〜2015・映画

『小時代』シリーズ

自身の小説を映画にした4部作。監督としての出発点です。

参考

  • 投資界(初のテレビドラマ、補正なし・暗い照明、顔のアップ、共同監督、衣装・ヘアメイク)
  • 澎湃新聞(送風機とスローモーション、雪や枯れ草の中の立ち回り)
  • 微信百科・bangumi(スタッフ)
  • 東方財富網(バーチャルスタジオ)
  • 映画ナタリー(『大夢帰離』の日本配信)、網易(『大夢帰離』の監督)
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